石を積むこと、漫才みたいな服を作ること
便利なアイテムであったはずのアイフォンに不便さを求めるヘンな人間マン。
隣で友人デザイナーAA(23)は小枝で落ちた石をコロコロ集めて遊び始めた。
藝祭を見に、数人の友人と出かけた日の事だ。会場の人混みの中で、途中ではぐれてしまった。すると一緒にいたデザイナーAAは連絡を取ろうとしたけれど、彼のiPhone8では電波が届かなかったようだ。私からはぐれた友人へ連絡取るのはやめてしばらく様子を見ることにした。
彼は普段、服をデザインして自身のブランドをしている。彼にはこだわりがあるようで、使っているiPhone8が壊れたら、また新しいiPhone8を買い直す。お金がないわけではない。ただ、iPhone8の不便さが好きなのだ。一緒に展示をすることもあって、連絡用のアプリを入れてほしいと頼んだことがあるけれど、そもそも彼の携帯にはもう入れられない、、そのアプリのiOSの更新が、止まっているからだ。私は正直、そろそろかなり不便なってきたんじゃないかと思った。
それでも、コレクションブランドのデザイナーすらAIを使うような時代に。服をデザインする人が最新のテクノロジーを使っていない、というのは大変好ましい。
電波の繋がらない場所に来ると、彼は地面に落ちた石を集めて遊びはじめる。傍から見れば、ただの暇つぶしだ。でも、そういう原始的な時間の過ごし方ができる人だからこそ、あの服が作れるんじゃないか、とも思う。
デザイナーAAが作る服の一つにチャックが開いているように見えるズボンがある。お笑いとか漫才みたいに、不意な笑意を誘う服。誰かの真似でもなく、流行を追ったものでもなく、どこにもないシュールなものばかりを、彼は作る。彼の服を着ていると「岡田さん社会の窓が開いてるよ」と言われ、「これこういう服なんです。」と答える時の快感とその場の笑いは最高に漫才している気分になる不思議な服だ。
多分デザイナーAAがこれを読んだ時に初めに言うことは
「お笑いと漫才の違いをわかってない!」だろう。
